LGBTスタディーズ 研究発表会
LGBTスタディーズは,「ジェンダー,セクシュアリティについて深く正しく学びその知識を周りの人に伝授する」を枠組みとしており,LGBTQ+・セクシュアリティ・ジェンダーに関する研究を実践した研究者8名が登壇し,ご自身の研究についての成果を発表していただきました。
エソール広島会場のみの開催で,4時間にという長時間にもかかわらず,53名の申込をいただきました。
発表者の論文題目は次の通りです。当日の発表順に記します。
性の多様性の理解を目的とした教職員研修の効果と課題
若年層の日本人男性同性愛者が日常生活の実践において直面する諸生きづらさ―を使った半構造化面接調査の分析より―
同性婚法制化をめぐる言説とクィア的視点
ヴァイマル期及びナチス・ドイツ期におけるジェンダーと権力~男性性と男らしさ,同性愛をめぐる考察~
ラドヤード・キプリングの短編小説を読む―メアリ,ベラ,ヘレンの変貌—
ゲイバーというリアル空間のダイナミズム―地方都市におけるゲイの出会いをめぐる比較社会学—
中国の「同性婚合法化事件」により構築される代理出産問題
クィアの夢と現実—米国に移住した日本人のオーラル・ヒストリー―QUEER DREAMS VERSUS REALITY FOR JAPANESE MIGRANTS TO THE U.S
全員の発表が終わった後は,広島修道大学教授の河口和也さんから一人一人の研究についての解説やまとめ,「講評」をしていただきました。
その後あらためて質疑応答の時間を設けると参加者からさらにたくさんの質問があがり,それに発表者がひとつづつ丁寧に答えるというような非常に貴重な時間となりました。
大学という狭い場から抜け出た研究者が,社会に向けて発信した課題に対し,参加者がそのテーマを把握し理解するための議論や意見交換が活発に行われた7月3日のエソール広島の研修室はまさに「産官学の共有・協働」の場であったといえます。
参加者にご意見を記していただいたアンケートを2つ紹介します。
「研究発表を聞いていく中で,そのような考え方もあるのかと新しい視点や考え方を知ることができ,より興味を持てました。難しい問題ではありますが,自分にも何かできることはないか,どのような活動をしていくべきなのか,より深く考えていきたいと思えました。興味のある内容であり,ある程度は知識があると思っていましたが,本当に自分はまだ何も知れていないと感じました。こういったイベントは定期的に行ってもらいたいと思いますし,いつか自分も情報発信できる立場になれたらなと思います。」というご感想をいただき,さらに,「研究発表を一般に公開するということがとても興味深かったです。また,その意義や背景を丁寧に冒頭で解説していただき,目的・ねらいが明確になったところから参加できたのは,今回の企画の満足度がより高くなった理由です。これからもいろいろな企画を期待しています。ありがとうございました。」という記述がありました。
研究者と県民(市民)との交流の場を提供することができた初企画の「研究発表会」でしたが,これからもLGBTスタディーズは,新しくて有意義な企画を今後も開催していきます。