(公財)広島県男女共同参画財団「エソール広島」は,男女共同参画社会づくりのための拠点です

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3月

講座イベント実施報告

第20期メンタルサポーター養成講座

 この講座は,相談業務や,対人援助活動に携わる方を対象とした講座で,今年度で
20期を迎えました。
 社会の変化をとらえ,人間関係に現れる心理的課題に取り組み,人間のこころの成
り立ちを理解し,男女共同参画の視点を持った相談員を養成することを目的として実
施し,令和4年10月から令和5年3月まで,全7回にわたり開講し,23名の方に受講
いただきました。

 
開講日 テーマ 講 師
心理部門(5回)
10/30(日) 大人として,子どもの困り感と
向き合うために必要なこと
古元 邦子さん
(心理相談室アフォーダンス代表・
臨床心理士・公認心理師)
12/11(日) 成人期の精神疾患の理解と心のケア 水谷 剛司さん
(ほうゆう病院心理室長・
臨床心理士・公認心理師)
1/15(日) 夫婦・家族に対する支援 村上 雅彦さん
(広島ファミリールーム所長・
臨床心理士・公認心理師)
2/5(日) 老いゆく人と家族介護者の
心理過程と支援
野村 妙子さん
(特別養護老人ホーム三滝苑施設長・
臨床心理士・公認心理師・社会福祉士)
2/19(日) 対人援助職のためのセルフケア 小早川 久美子さん
(えなカウンセリングルームカウンセラー・
臨床心理士・公認心理師)
男女共同参画部門(2回)
11/13(日)
困難女性支援法に期待するもの
 
寺本 佳代さん
(弁護士)
3/5(日)
コミュニティケアの実践
 
田中 洋子さん
(社会福祉士)

参加者からは,次のご感想をいただきました。
・ロールプレイや事例を挙げての検討があって,現場で働いている方の知見,考え方
 がとても参考になりました。
・全ての回がとても勉強になりました。職場や日常で活用していきたいと思います。
・これまで知らなかった知識をたくさん得ることができて,個人的にも地域生活にも
 活かすことができると思いました。
・子育て支援のために知識を得たいと思っていましたが,それ以上のことを知ること
 ができ大変役に立ちました。
・自分の価値観を取り崩す難しさを日々感じていたので,とても勉強になりました。


受講生の皆さま,講師の皆さま,ありがとうございました。
  
 
 

 

令和4年度 高校生向け出前授業

 この講座は,今後の社会を担う高校生が「男女共同参画」について考えるきっかけにし
ていただくこと,また,多様な人々がそれぞれの個性と能力を生かして自立した生活を送
り,お互いを理解し尊重することの大切さなどについて,学んでもらうことを目的として
実施しています。

 今期は令和4年8月から令和4年11月まで,5校で実施し,644名の皆さんに受講いた
だきました。


 
実施日 実施高校名 テーマ 受講者(対象学年)
8/29(月) 県立広島工業高等学校
デートDVについて
 
260名 (2年生)
9/27(火)
呉市立呉高等学校
 
ジェンダーの視点で
ものを見ること
160名 (1年生)
9/27(火) 進徳女子高等学校
子どもの権利条約について
 
27名 (1年生)
10/25(火)
県立大崎海星高等学校
 
男女共同参画の視点を
通して働くことの意味
32名 (1年生,
 3年生)
11/24(木) 比治山女子高等学校 LGBTについて 165名
(2年生)
 

生徒の皆さんからは,次のご意見をいただきました。

【デートDVについて】
・被害にあった人は,その人が悪いわけではないから,一人で考え込まずに、周りに相談
 しないといけないことがわかりました。
・これから交際することがあったら,「デートDV」にならないように気を付けたいです。
・授業を受けて,自分が被害者にも加害者にもなる可能性があることがわかりました。
 

【ジェンダーの視点でものを見ること】
・社会的・文化的な男女の性差と生物学的な男女の性差の違いについてわかりました。
・世の中にはいろんな考えがあることがわかりました。中学校で学んだことよりも深く教
 えていただいて勉強になりました。
・性のあり方は社会が作っていて生きづらさを感じている人がいることがわかりました。
 

 【子どもの権利条約について】

・条約の内容をわかりやすく説明され,具体的にどういうものかわかりました。
・実際の体験を交え説明されイメージがしやすかったです。
 


【男女共同参画の視点を通して働くことの意味】
・これからの人生に大きく影響するようなお話を聞いて,頑張ってみようという勇気をも
 らいました。
・お話を聞いて,今後に活かしていこうと思いました。
・虎屋さんの会社の歴史だけでなく,SDGsなどについても知ることができました。
 

【LGBTについて】
・今日のお話は本当に心を動かされる内容でもあり,ありのままの自分でいていいんだと
 いう勇気をくださる授業でした。

・性に関して悩んでいる方達をより理解していくよい時間だったと思います。自分らしさ
 を大切に生きていこうと思いました。

・もし性の悩みを抱えている人がいたらできるだけ寄り添える様に,勉強してもっと知り
 たいと思いました。
 

 

「わた生きゼミ」~みんなの発表会~開催




「わた生きゼミ」令和4年度総括!“みんなの発表会”
 

広島県わたしらしい生き方応援課は,性別に関する固定観念について,何が問題で社会がどうなればよいのか,そのためには何ができるのかを考え,話し合い,アクションにつなげていくことを目的に昨年度から「わたしらしい生き方を選択するためのワークショップ」を実施しています。
今年度の実施事業は,キックオフセミナー,3つのテーマ「男性の家事・育児編」,「学校生活とジェンダー編」,「子どもとメディア編」による「わた生きゼミ」,そして,3つのゼミの総括「みんなの発表会」です。
 
「みんなの発表会は」は,2月18日(土)にエソール広島において開催しました。いろいろな世代,立場の方22人が参加されました。進行役は,県立広島大学教授の上水流 久彦さんです。


 
3つのゼミの参加者による発表
 

まず初めは,3つのゼミの参加者による発表です。

 

「男性の家事・育児編」は,橋本 洋輔さん(日本アイ・ビー・エムデジタルサービス(株))が発表。
 
 このテーマでは,育児中の男性が集まり,育休取得に関して周囲に言われたことや家事・育児をしている中で感じたことで,モヤモヤしたことを話し合い,「モヤっと体験」というフリップと,周囲の人への手紙形式で,モヤモヤに対して「自分はこんなことをしていきます!」という「わた生き宣言」フリップを作成し,発表したことを紹介。
橋本さんからは,「参加してみて。自分だけでなくみんなも同じようにモヤっとした体験がたくさんことがあるんだなと気付いた。みんな同じようなことを思っているのだったら,少し勇気がいることだが,「こんなことにモヤっとしているよ!」と発言・発信していくことが大事だと思った。」とのコメントがありました。


 
次は,「学校生活とジェンダー編」。佐藤祥花さん(広島修道大学2年)の発表です。
 
 このテーマでは,大学生と高校生が,普段の学校生活や部活動,進学時や就活における「性別に関する固定観念」について話し合い,性別に関する思い込みのモヤモヤを感じる現状と,「こんなふうになったらいいな」という状態を,「わた生きビフォーアフター」というフリップを作成し,発表したことを紹介。
佐藤さんからは「今回,女性らしく,男性らしくという生き方を考えるよりも,その人らしくいきていくことが大切なんだなということがわかった。」と気付きを話されました。



最後は「子どもとメディア編」。片元 彰さん(NPO法人ファザーリング・ジャパン中国代表理事)の発表。
 このテーマでは,子育て中の親が集まり,メディアが発信する内容や周囲の大人の言動によって,幼少期に植えつけられる性別に関する固定観念について,親の立場で話し合い,子どもに固定観念を植え付けないために自分たちでできることについて考え,テレビやネットなどのメディアの発信する「男性像」「女性像」「家族像」や,これまでに聞いたり言ったりしてしまった,性別に関する思い込みによる子どもへの声掛けなどでモヤモヤしたことと,その場面に遭遇した時に,今度から子どもに「こんな声をかけます!」という「わた生き!マイベストアンサー」のフリップを作成し,発表したことを紹介。
片元さんからは,「メディアから影響を受けているのは子どもだけでなく,大人もそう。ゼミ参加後はこういった内容に敏感になった。」とのコメントがありました。

 
■ワークショップ
後半は,4つのグループに分かれてのワークショップです。
進行役の上水流先生から3つの質問が提示されました。
まず,『早く絶版になってほしい #駄言辞典(日経xwoman編)』から42の駄言をピックアップし,参加者に配布。
そして,「これらの駄言の中で問題だと思ったもの,もしくは問題だと普段は思っていなかったものを各自3つ挙げて,その理由を共有してください。その上で,グループで発表する3つの駄言を決めてください。」というもの。
二つ目の質問は「女性教員,男性教員,男子友人,女子友人が女子学生のファッションをほめるのは○か,×か。」
三つ目の質問は「女性の管理職30%目標は男性への逆差別か否か。」
いずれの質問に対しても,各グループでは活発に意見が交わされました。

 

 



最後に,上水流先生から,まとめとして
「私らしく生きるために一番大事なことは,本人たちの意思の尊重であるが,その時に,社会的な大きな仕組みというものも一緒に考えていかなければならない。
大きな問題や構造というのは,自分たち自身が行っている身近な行動の中で作られていることだと思う。普段の行動の中にこそ大きな問題を変えていく手掛かりがあるのではないか。だからこそ,このようなゼミをして私たち自身の意識を変えていかなければならないし,身近なところから発信をしていくことが重要。
大事なことは,『違うんじゃない?』と思うことには声を上げていくことです!」
とのお話で締めくくりました。

 

アンケートからは,
○ 世代の違う方々との交流はとても新鮮で,とても楽しませていただきました!
○ いろいろな固定観念があることに気付き,自分の中で大変勉強になりました。
○ 初めて参加させていただきました。改めて考えさせられた気がします。社内で共有していきたいと思います。
○ 初めて参加させていただきましたが,自分の固定観念がガチガチで,ジェンダー意識がまったく低すぎることを感じました。これを機に,ジェンダーアンテナを高くして磨いていこうと感じました。
○ いろいろな世代,性別,立場の方の意見が聞けてとても勉強になった。
○ 各世代の方の意見を聞くことができて良かったです。
○ 女性らしく,男性らしくではなく自分らしくを大切にできる社会にしていきたいと思いました。
などの意見が寄せられました。

 

 


今年度は,性別に関する固定観念が「わたしらしい生き方」にどんな影響を与えているのか,ゼミ等を通じて話し合い,発信してきました。
みんながより自分らしく生きられる世の中にするために,「男だから」「女だから」の思い込みの解消に向けて,身近な人と話し合うことから始めてみませんか?



 広島県の取組~ゴールまでの道のり~
(グラフィックレコーダー 住田 桃子さん作)
 
「男性の家事・育児編」
「学校生活とジェンダー編」
「子どもとメディア編」

 

「無料公開講座」,「無料相談会」

2月23日(木・祝),エソール広島では,全館あげて「無料公開講座」と「無料相談会」を開催しました。
午前は,帝塚山学院大学大学院教授 宮田智基さんをお迎えして、「勇気づけるコミュニケーション―アドラー心理学に学ぶ子どもの問題行動の理解と対応―」という講演を行いました。オンライン講座で,178名の方に受講していただきました。
アンケートでは,「講座を聞き『視点』の大切さを改めて感じました。子どもの成長や親の老い等で,大きな変化(節目)を迎えている今の我が家。最近家族との関係は,本当に近しいだけに難しいと痛感していたところでした。今ここから見方を変えて行くことを,それぞれの行動の持つ意味がある事や,向けるそのまなざしは,子どもだけでなく家族や学校や職場の誰にでも向けられるものである事などが改めて腑に落ちました。本当に一旦視点を変えないと見えてこないものだなぁと,視界が広がったようで受講後何だかすっきりしました。大きな収穫です。」という声をいただきました。
午後は,弁護士と臨床心理士,専門家各2名による「無料相談会」を開催。
相談時間も一人50分程度とゆとりを持たせた相談会でした。
「相談会」に来られた方のアンケートでは,「女性の弁護士さんだったので話しやすかった。」「今後も何か困ったことがあれば,気軽に相談してみようと思いました。」との記述がありました。