(公財)広島県男女共同参画財団「エソール広島」は,男女共同参画社会づくりのための拠点です

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講座イベント実施報告

「無料公開講座」,「無料相談会」

2月23日(木・祝),エソール広島では,全館あげて「無料公開講座」と「無料相談会」を開催しました。
午前は,帝塚山学院大学大学院教授 宮田智基さんをお迎えして、「勇気づけるコミュニケーション―アドラー心理学に学ぶ子どもの問題行動の理解と対応―」という講演を行いました。オンライン講座で,178名の方に受講していただきました。
アンケートでは,「講座を聞き『視点』の大切さを改めて感じました。子どもの成長や親の老い等で,大きな変化(節目)を迎えている今の我が家。最近家族との関係は,本当に近しいだけに難しいと痛感していたところでした。今ここから見方を変えて行くことを,それぞれの行動の持つ意味がある事や,向けるそのまなざしは,子どもだけでなく家族や学校や職場の誰にでも向けられるものである事などが改めて腑に落ちました。本当に一旦視点を変えないと見えてこないものだなぁと,視界が広がったようで受講後何だかすっきりしました。大きな収穫です。」という声をいただきました。
午後は,弁護士と臨床心理士,専門家各2名による「無料相談会」を開催。
相談時間も一人50分程度とゆとりを持たせた相談会でした。
「相談会」に来られた方のアンケートでは,「女性の弁護士さんだったので話しやすかった。」「今後も何か困ったことがあれば,気軽に相談してみようと思いました。」との記述がありました。

 

「わた生きゼミ」第3弾!“子どもとメディア編”開催



動画はコチラから



「わた生きゼミ」第3弾!“子どもとメディア編”


皆さんは,テレビなどのメディアの発信する男性像・女性像や家族像にモヤっとしたことありませんか?お子さんに対して「男の子なんだから○○」「女の子は○○でないと」といった思い込みで接してしまうことはありませんか。今回こういった思い込みの解消に向け,広島県の主催により,エソール広島で,「わた生きゼミ」の第3弾「子どもとメディア編」を開催しました。
今回は,子育て中の方を中心に30代から50代までの9人が,日ごろ感じている性別に関する疑問や違和感等を出し合い,課題解決に向けて,意見交換や発表を行いました。


 
「わた生きゼミ」って何?


広島県わたしらしい生き方応援課は,性別に関する固定観念について,何が問題で社会がどうなればよいのか,そのためには何ができるのかを考え,話し合い,アクションにつなげていくことを目的に昨年度から「私らしい生き方を選択するためのワークショップ」を開催しています。
今年度は,3つのテーマで「わた生きゼミ」を開催。第1弾は「男性の家事・育児編」,第2弾は「学校生活とジェンダー編」で,今回は,第3弾「子どもとメディア編」です。
進行役には,「男性の家事・育児編」でも課題提起していただいたNPO法人ファザーリング・ジャパン中国の代表理事 片元 彰さんをお迎えし,全2回のプログラムで開催しました。




【1/7(土)開催・1回目】
               
      「男の子だから?女の子だから?」
                               
           こんな思い込みについて意見交換



■ 片元 彰さんによる課題提起
第1回目の冒頭は,片元彰さんから,資料に基づき,
・内閣府が出した最新のデータ「令和4年度性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアスに関する調査結果)」による「性別役割意識」
・子どもとメディアの関係
・子どもへの声掛けによる影響
・親と子の職業に対するイメージ
・働くイメージや進路選択に対する影響
等について課題提起がありました。
提示された課題の中には,日ごろ「何も気にせずしている声掛け」や「疑問を抱かないまま見ているテレビ番組」の事例もあり,後半のワークに向けてよい導入になったようです。






■自己紹介とアイスブレイク



その後は参加者全員の自己紹介と,2グループにわかれてのアイスブレイク。参加者の緊張をほぐすためのアイスブレイクでは,グループのメンバー全員に共通することを探します。



全員が当てはまる共通点を見つけるのは難しかったようですが,2グループとも10個以上の共通点が見つかりました。見つかった共通点を参考にグループ名を決定します。Aグループはお正月に全員が食べたことから「おもち」,Bグループは全員が習字を習っていたことから「習ジーズ」に決まりました。
 
■ワークと意見交換・グループごとに発表
アイスブレイクで皆さんの緊張もほぐれたところで,ワークに入ります。
今回のわた生きゼミで取り上げる課題は,
①メディアが子どもの固定観念に影響を与える発信内容
②自分や周りの大人が子どもに行っている,性別による固定観念だと思われる声掛け
この2点です。日ごろ感じている疑問やモヤモヤとした感情を付箋に書き出してみます。



個人で付箋に書き出した後は,グループで意見交換をしながら模造紙にまとめました。





模造紙に付箋を貼り付ける作業では,「あっ!同じこと書きました!」という同意見であったり,「なるほどー!」と意外な意見に驚いたり,活発に意見交換する様子が見られました。



模造紙にまとめた内容を,グループごとに発表。



各グループから出た主な内容は,次のとおりです。
 
■子どもに対する声掛け
・男の子だからたくさん食べようね
・男の子だから泣かないよ,強くないといけないよ
・そんな恰好をしていると男の子に間違えられるよ
・女の子だから料理ができないとね                  
・女の子が優先だよね
・女の子だからスカートはかないとね
 
■メディアに関して
・「ママゴルファー」「ママタレント」などママだと特別扱い(パパ〇〇はほとんどない)
・お笑いコンテストの審査員が女性1名のみ
・テレビCMでの「○○レディ」「○○ママ」
 
どちらのグループも,貼られた付箋は20枚以上。さまざまな意見や気付きが挙がっていました。課題が多くある一方で,「昔は歌のおねえさん,体操のおにいさんだったけど,今は歌のおにいさん,体操のおねえさんもいる」といった時代とともに改善されたことにも着目。また,「声掛けは,性別に関係なければ問題ないことなのに,男の子,女の子という前置きがあるため問題があるのでは?」という意見も見られました。


 
【1/22(日)開催・2回目】
    
     「わた生き! マイベストアンサー」
           
             こんな声をかけてみます!

 

■グラフィックレコーディングをもとに振り返り
2回目は,前回の内容を可視化したグラフィックレコーディング(グラレコ)を見ながら,振り返りから始まりました。





次は,前回のワークショップの後,自分自身が考えたことや各家庭で話題になったことなどをシェアしてもらいました。



中には「テレビを見終わった後,どう感じたのか子どもと話をしてみると,子ども自身は性別に関する固定観念があまりないことがわかり,自分の方が性別に関して枠にはめていたことに気付いた」という参加者も。
 
振り返りとシェアの後は,前回出たモヤモヤ等に関して「こんなふうにしたらどう?」というイメージを,「わた生き!マイベストアンサー」としてフリップに書きました。







フリー素材や手描きのイラストを使い,わかりやすいフリップに仕上げていきました。
完成したフリップは,まずグループ内でシェア。



身近な事例も多く「それ,いいですね!」「わかる,わかる!」などの声が挙がっていました。
 
■作成されたフリップを使って発表
最後に,完成した「わた生き! マイベストアンサー」を全員が発表!





バリエーション豊かな「わた生き!マイベストアンサー」が集まりました。
 
発表された内容の一部をご紹介します。
モヤモヤ・・・
「男の子だけどピンクの服が好きみたい。笑われないかな?」
こんな声掛けします!
「ピンクが好きなんだね。ピンクの服を着ている人って優しそうな印象だよね。」
モヤモヤ・・・
「男の子なのに手芸部,大丈夫?」
こんな声掛けします!
「好きなことを自信もってするといいよ!」
モヤモヤ・・・
「髪が長いから,女の子っぽいね」
こんな声掛けします!
「男女関係なく好きな髪型でいいんだよ」
 
どれも日常にありがちな一場面ですが,性別に関する固定観念につながることもあります。ほんの少しの声掛けで固定観念の解消につながることが,発表からわかりました。
 
■全2回のワークショップを通じて得られた気付き
ワークショップの最後に,全2回を通じての気付きや感想を参加者の皆さんに発表していただきました。



発表していただいた感想を,一部ご紹介します。
 
・メディアの固定観念や子どもへの声掛けについて考えるよい機会になってよかった
・発表にあった「好きなようにしんさい」という声掛けがとてもよいと思った
・性別に関係なく子どもの「好き」を伸ばすことが大切
・幅広い年代の子どもがいる参加者と意見交換できてよかった
 
 
今回のわた生きゼミ第3弾「子どもとメディア編」では,知らず知らずのうちに子どもに与えている性別に関する固定観念について,活発な意見交換をしていただきました。そして,身近な事例をもとに「こんなのはどう?」という提案を「わた生き!マイベストアンサー」としてフリップにまとめていただきました。フリップは,広島県やエソール広島のHP,SNSで発信をしていますので,ぜひご覧ください。
 
全員の「わた生き! マイベストアンサー」はこちらから

 

 

「わた生きゼミ」第2弾!“学校生活とジェンダー編”【動画を追加しました!】



動画はコチラから


「わた生きゼミ」第2弾!“学校生活とジェンダー編”

学校生活や就職活動などでは「男子は〇〇,女子は△△」といった慣習などがまだまだ残っているのではないでしょうか?こういった思い込みの解消に向け,広島県の主催により,エソール広島で,「わた生きゼミ」の第2弾となる「学校生活とジェンダー編」を開催しました。
10代・20代の高校生や大学生が,日ごろ感じているジェンダーについての疑問や違和感を出し合い,課題解決に向けた意見交換や発表の様子を報告します。

「わた生きゼミ」って何?


広島県わたしらしい生き方応援課は,性別に関する固定観念について,何が問題で社会がどうなればよいのか,そのためには何ができるのかを考え,話し合い,アクションにつなげていくことを目的に昨年度から「私らしい生き方を選択するためのワークショップ」を開催しています。
今年度は,3つのテーマで「わた生きゼミ」を開催。第1弾はすでに開催済みの「男性の家事・育児編」,第2弾が今回開催した「学校生活とジェンダー編」です。第3弾は「子どもとメディア編」を開催します。
わた生きゼミ第2弾「学校生活とジェンダー編」は,編集者でライターの大須賀あいさんをファシリテーター(進行役)にお迎えし,全2回のプログラムで開催しました。


【10/28(金)開催・1回目】

    「女子なら~しないと,男子なんだから~」
    
     
 日頃感じるモヤモヤについて意見交換




■ 大須賀さんによる課題提起
まず,大須賀さんによる課題提起と,意見交換を行いました。





大須賀さんが,日本の学校や就職にまつわる男女に関するデータを示されました。
・「小学生の習い事 活動ランキング」については,スポーツ系は男子が多く,芸術系は女子が多い。
・大学,大学院の学部別女子在籍割合は,文系が多く,理系が少ない。
・教育機関のジェンダーバランスについて,芸術系大学6校の学生は女子が4分の3いるのに,教授は4分の3以上が男性。音楽系大学12校においても,女子学生が73%いるが,教授は61%が男性。
 
今回は,「参加者に教える」ということではなく,「参加者の皆さんと一緒に考える」というスタンスで進めたいとのことでした。
このようなデータ紹介から,さらには「何が問題なのか?」を深堀する内容で,後半の意見交換に向けてとてもよい導入になったようです。
 
■自己紹介とアイスブレイク
次は,参加者の自己紹介。名前や学年のほかに「最近ハマっていること,推し」も紹介してもらいました。
自己紹介の後は,緊張をほぐすためのアイスブレイク。2つのグループに分かれ,グループのメンバーの「共通点探し」をしました。




見つかった共通点を参考にして,グループ名を決定。スマホを手離せないことから,Aグループは「スマホ大好き♡」,好きな給食のメニューからBグループは「黒糖ぱん」というグループ名に決まりました。

■ワークと意見交換・発表
緊張もほぐれたところで,ワークと意見交換に入ります。学校生活やアルバイト,家族と話をしたときなどに感じた「性別による固定的役割分担」に関する違和感や気づきを,まずは5分間,各自付箋に書き出してみました。




次に,付箋に書き出した内容を,グループごとにまとめる作業。模造紙に,付箋を貼り付けながら,違和感やモヤモヤを感じる場面を,活発に意見交換しました。



皆から出た意見を,大須賀さんの助言を得ながら,カテゴリーごとに分類します。



最後は,模造紙にまとめた内容を各グループのリーダーが発表。





【各グループから出た主な内容】
・事務職は女性が多い,女性の管理職割合が少ない。
・女性は料理ができる,女性なのに家事ができない。
・制服は女子がスカート,男子はズボン。
・女の子は字がきれい。
・部活のマネージャーは女の子。
・理系は男子が多い,文系は女子が多い。
・女の子は言葉に気をつけるべき。
・女の子は足を閉じて座るべき。
などなど




最後に,第1回目を終えた参加者の感想を紹介します。
 
・性別によって強制されていることについて「なぜ?」と思っていることがあり,考えるきっかけになった。
・いじめの原因のひとつにジェンダーもあるのではないかと感じた。女性のスラックス着用など受け入れられることも多くなっているが,まだまだ学校の授業で取り上げるなど理解を深める活動が必要だと思う。将来目指している教職に就いたときに今回の経験を活かしたい。
・今回は女性側の意見ばかりだったので男性側の意見も聞いてみたい。



 
【11/12(土)開催・2回目】

  「今はこうだけど(モヤモヤ)」から

      「こんなのもいいな!(スッキリ)」



■前回のワークで出た意見をもとにグラフィックレコーディング
第2回はグラフィックレコーダーの住田桃子さんにもご参加いただきました。
グラフィックレコーディング(略してグラレコ)とは,イラストや文字を使って情報を可視化する手法のこと。
冒頭では住田さんが作成された前回のグラレコをもとに振り返り。前回のワークショップの後,自分自身で考えたことや家族間で話し合ったことなど,参加者のみなさんでシェアしてもらいました。






■「わた生きビフォーアフター」の作成
今回は,「わた生きビフォーアフター」と名付けられたフリップに,前回出た違和感や気づき「今はこうだけど(モヤモヤ)」と,「こんなのもいいな!(スッキリ)」と思い描くイメージをイラストや文字でまとめました。




イラスト部分は,イメージを伝えて住田さんに描いてもらいます。





もちろん,イラストが得意な人は自分で描いてもOK。



■作成されたフリップを発表
フリップが完成したら,1人ずつ順番に発表してもらいました。











ジェンダーについての違和感をしっかりと掘り下げて未来のための提案を作成し,熱のこもった発表でした。
 
■全2回のワークショップを通じて得られた気づきとは?
最後に参加者の皆さんから,2回のワークショップを通じての感想や気づきを発表していただきました。



【感想・気づき】
・自分が感じていた違和感や考えていたことが間違っていなかったと確認できた。
・メイクに苦手意識があった,「するべきもの」だと思っていたけれど,今回参加してメイクをするのは自由でいいと思えた。
・周りの高校生には話す機会がないし,親に話しても一方通行だったので,今回意見交換できたのはとてもよい機会だった。
・ランドセルや制服など以前に比べて変わってきていると思う,まだまだ変えられることはあると感じた。




「ジェンダーについて意見交換して,共感できることが多くあった」「自分のこととして考える機会になった」など前向きな意見が多かった一方,「ジェンダーについて,普段は話をする機会がない」といった悩みも多く見受けられました。
 
今回のワークショップは,日ごろ感じているモヤモヤをたくさん出し,思い込みの解消へのきっかけとなるよい機会になったのではないでしょうか。



今回ご参加いただいた皆さん,ファシリテーターを務めてくださった大須賀あいさん,グラフィックレコーダーの住田桃子さん,ありがとうございました!
 
 全員の「わた生きビフォーアフター」はこちらから
 

実施概要
第1回:10月28日(金)18:30~20:30 エソール広島
第2回:11月12日(土)10:00~12:00 エソール広島
主催 広島県(わたしらしい生き方応援課)
運営 公益財団法人広島県男女共同参画財団




 

 

エソールひろしま大学公開講座「SDGsゼミナール」

 12月3日(土)に開講する,SDGsを基軸とした「エソールひろしま大学」に先立ち,10月29日(土),講師に丸本美加さん(米国認定NPOアドバイザー),コーディネーターに長尾ひろみさん(瀬戸内グローバルアカデミー代表)を迎え,「SDGsゼミナール」という形式で公開講座を実施しました。
オンラインで25名の方にご受講いただきました。
 
 丸本さんからは,SDGsのうち「ジェンダー平等」の目標達成状況にも触れ,世界情勢と対比して日本や広島で起きている課題事例を交えながら,SDGsの成り立ちや,SDGsがなぜ自分に関わる問題なのか等など,詳しくお話をしていただきました。終盤は,受講生からオンライン上に届いた質問を深堀りする形で展開していきました。
 また,アンケートに寄せられた声からは,ひとり一人がSDGsを正しく知り,身近な課題を見つめ直すきっかけにつながったことなどが伺えます。
一部を紹介します。
・SDGsには前身があったこと,その目標に向かって努力する中で生まれてきた課題がSDGsになっていることを学びました。
・SDGsについて聞いたことはあるが,具体的にどのような取り組みを行っているのかがわかりました。私にも今日からできる取り組みがあったので実施したいです。
・SDGsの普遍性,包摂性,参画性,統合性,透明性,説明責任について丁寧に説明がありより身近に感じることができました。
・自分の住む自治体から変えていくことの重要性がわかりました。地に足のついた取り組みについて自分で探究していきます。
・一方的な講演ではなく,時々対話式になっていた点が良かったです。
 
受講いただいた皆様,丸本さん,長尾さん,大変ありがとうございました。
 
 さて,丸本さんも登壇するエソールひろしま大学は,現在,受講生を募集しています。
 SDGs概論,有機農業,難民問題,コロナ禍と女性の生活問題,平和問題,学びのまとめの6回連続オンラインセミナーです。今回は,質問に対して講師が一方向でお答えする形でしたが,本セミナーでは,世代の異なる受講生同士でじっくりとディスカッションしながら意見や考えを共有することができます。
新たな気づきから視野を広げ,SDGsを知って身近な問題や解決のヒントを共に考えてみませんか。
 
詳しくはコチラから

お申込みはコチラから


 

「わた生きゼミ」第1弾!“男性の家事・育児編”開催


第2弾!“学校生活とジェンダー編”


第3弾!“子どもとメディア編”


~みんなの発表会~




「わた生きゼミ」第1弾!“男性の家事・育児編”


ひと昔前に比べれば,家事・育児に積極的な男性が増えてきた昨今。とはいえ「家事・育児は女性が中心になってすること」「男性は外で稼いでくるもの」といった思い込みが,身近にまだまだあるのでは?
こういった思い込みの解消に向け,広島県の主催により,エソール広島で,「わた生きゼミ~男性の家事・育児編~」を開催しました。
わたしたちの周りに根付く“性別の固定観念”について,3回にわたるゼミで,意見を出し合い,社会に情報発信をしていただきました。


【9/17(土)開催・1回目】

       日頃感じるモヤモヤについて意見交換



初日となる9月17日,この日エソール広島には,10名の男性が集まりました。全員に共通しているのが「家庭で家事・育児を積極的に行っている」ということ。



冒頭では,進行役の1人でもある,片元 彰(かたもと あきら)さんが登壇。
 “父親支援事業”の推進に取り組む団体「NPO法人ファザーリング・ジャパン中国」の代表理事でもある片元さん。2児の父親で,専業主夫として5年間家事育児を行っていたそうです。
そうしたご自身の経験談も交えつつ,「男性は仕事,女性は家庭」といった性別役割が今も残る日本社会の現状を伝え,課題提起を行いました。



次に,日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社に勤める橋本 洋輔(はしもと ようすけ)さんを進行役に,参加者が自己紹介!




みなさん,ニックネームやお仕事,お子さんの年齢,好きな家事・嫌いな家事などを1人ずつ発表。お子さんが15歳になる方から,3番目のお子さんが生まれたばかりという方,中には双子ちゃんを子育て中の方も!
「洗濯物の干し方にこだわりがあります」
「料理が苦手で…」
といった話題では,笑いや共感の声が挙がり,最初は緊張気味だった参加者の皆さんも,徐々にリラックスしてきた様子☆



ちなみに,今回のゼミでは,グラフィックレコーダーの住田 桃子(すみだ ももこ)さんによる “グラフィックレコーディング”が行われました。
実は上の参加者イラストも,自己紹介を聞きながらその場で作成されたものなのです♪


ここからいよいよ本題!A・Bの2つに分かれ,グループワークが行われました。課題は,「日常生活の中で感じた,性別による役割分担の違和感やモヤモヤ」について。



まず個人の意見をふせんに書き出し,それを元にグループ内で話し合いました。





挙げられた“気付き”や“モヤモヤ”の一例がこちら。
 

・保育園・幼稚園のお迎えがお母さんばかり
・「イクメン」と呼ばれることに違和感を感じる
・時短・パート勤務は女性が多い
・子どもの看病は母親の仕事という風潮
・男性は育休を取りづらい


などなど,無意識のうちに“当たり前”と感じてしまいがちな内容もチラホラ。
こうした意見を踏まえ,モヤモヤ解消に向けてみんなの意見をとりまとめ,タイトルを付けました。

 

○Aグループ
「身近な変化で社会を変えよう!」
 
○Bグループ
「まわりを気にしすぎなんじゃない?」




こうした意見を踏まえ,次回からは,発表に向けて準備を進めていきます。


【9/28(水)開催・2回目】

      Zoomミーティングにてグループワーク



9月28日に開催された2回目のわた生きゼミ。この日は平日夜の開催ということで,Zoomミーティングを利用しての開催となりました。
 
まず,「今回の気付きを社会に発信する方法」を検討。
全員で話し合いをした結果,

 

○日常のモヤっと体験を提起
○自分らしく生きる“わた生き宣言”として,身近な人へ手紙という形で発表

となりました。
その後,A・Bの2グループに分かれ,発表に向けての協議が行われました。





【10/10(月)開催・3回目】社会に向けての情報発信!


10月10日,いよいよラストとなる3回目の開催です。
 
まずは,それぞれが考えた“モヤっと体験”をフリップにまとめる作業から。
中にはこの日のために,写真やイラストを用意してきた方も!






そして最後に全員の前で,それぞれが伝えたい“モヤっとした”体験を発表!



「パパが仕事を休むのは,特別なときだけ」そんな隠れた固定概念にモヤっ!



「男性なのに?」「偉い…?」家事育児のメイン(=主役)は女性だけだと,誰が決めた?!



同意見が多かったのがこちら!「男性の育休=ただの休み」という考えにモヤっ。



この他にも,興味深いもの,はっとさせられるものばかり!
 
全員の「モヤッと体験」はこちらから

ゼミの最後は,身近な人への手紙という形で“わた生き宣言”を発表。
圧倒的に多かったのは“妻へ”。
「これからはPTA活動にも積極的に参加するよ」
「僕たちの役割は,僕たち自身で決めよう」
など,家事・育児を一緒に頑張っていこうという前向きな宣言が多数。
その他,会社の部下に対して「育休を取りやすい雰囲気づくり」を誓う宣言も!




「まずは,思い込みに気付くことが第一歩。今回のゼミで様々な気付きがあり,確実に一歩を踏み出せた気がする」と,進行役の橋本さん。
みなさん今回のわた生きゼミを通じ,次のアクションの具体像が浮かんだようです。
 
全員の「わた生き宣言」はこちらから
 
最後に,参加者同士が純粋に会話を楽しむ交流タイムもありました。
「家事の時短,どうやってる?」
「子どもに野菜を食べさせるためのメニューって何がある?」
などなど,家事・育児を行う男性同士ならではの,悩みやあるあるを共有する姿が見られました。
参加者の方からは,「育児や家事のことを男性同士で話すことがそもそもないので,このゼミはとてもいい機会になりました。情報共有の場として,今後もこうした場があれば」といった声も。




仕事をする中で,性別に関するちょっとしたモヤモヤを感じる女性は少なくないはず。
でも実は,男性も同じ。家事・育児を積極的に担当している男性からすれば,社会に根付く思い込みが,ときにモヤモヤや“やりにくさ”に繋がっていることも。
みんながより自分らしく生きられる世の中にするために,「男だから」「女だから」の思い込みの解消に向けて,一歩踏み出しましょう!




動画はコチラから


実施概要
第1回  令和4年 9月17日(土)  10:00~12:00
エソール広島
第2回  令和4年 9月28日(水)  18:30~20:00
オンライン
第3回  令和4年10月10日(月・祝)10:00~12:00
エソール広島
主 催  広 島 県(わたしらしい生き方応援課)
運 営  公益財団法人広島県男女共同参画財団



 

 

「無料公開講座」「無料相談会」

9月23日(金・祝),エソール広島では,全館あげて「無料公開講座」と「無料相談会」を開催しました。
午前は,「女性支援の新たな扉が開かれる―困難な問題を抱える女性への支援法『女性支援新法』を学ぶ―」を,講師に,法律事務所八丁堀法律センター所属 弁護士寺本佳代さんをお迎えして開催。
会場とオンラインのハイブリッドで,68名(オンライン48名)の方に受講していただきました。
講座後のアンケートでは,
「困難な問題を抱える女性への支援法がやっとできたという講師の思いがしっかりと伝わってきた。本人の思いに寄り添った支援ができると,生きやすくなる人が増えるのも,今後の「女性支援法」の運用にかかっていると思った。自分の気づかなかった問題を知ることができて本当に良かった。苦しんでいる人の助けになるといい。」
午後は,「弁護士相談」と「臨床心理士相談」専門家各2名による「無料相談会」を開催。
あらかじめ予約で受け付け,相談時間も一人50分程度とゆとりを持たせた相談会でした。
「相談会」に来られた方のアンケートでは,
「法律事務所も臨床心理士さんも自分で行くとなると敷居が高いので,このような場があり大変助かりました。休日にあるのも働く者としてはありがたかったです。」
次回開催時には,皆様,ぜひ,お越しください。

 

メンタルサポーター養成講座 公開講座 「社会福祉士の支援」

8月28日(日),講師に社会福祉士の田中 洋子さんを迎え,「社会福祉士の支援」をテーマに公開講座を実施しました。
オンラインで33名の方にご参加をいただきました。
田中さんからは,「社会福祉制度」「関係機関と連携した支援」「社会資源の活用」について,様々な資料や事例を基に社会福祉士の視点からお話しいただきました。
地域社会の現状を知り,生きづらさを抱えている人達の課題を解決するために私たちは何ができるのかをともに考える時間となりました。エソールでも今後の事業に活かしてまいります。

参加者からは,次のご意見をいただきました。
・私が思っていた以上に1人の人の生活を再起させる事は沢山の関係機関との連携が必要だと知り,社会福祉に今まで以上に関心を持つことができました。
・具体的な事例のお話は,1人1人の日常や人生に寄り添う大変さが,とてもよく伝わってきました。
・社会福祉士が担う役割や実際の活動の実態について知ることができました。知らないことが多く,沢山の学びをいただくことができました。
 
ご参加の皆さん,講師の田中さん,ありがとうございました。
 
10月から始まる第20期メンタルサポーター講座(全7回)では,第3回目の講義を田中さんに担当いただきます。相談業務や,対人援助に携わる方を対象とした講座です。
ぜひご検討ください!!
詳しくはコチラから

 

 

 

LGBTスタディーズ 研究発表会

7月3日(日)13:00~17:00,LGBTスタディーズ「研究発表会」を開催しました。
LGBTスタディーズは,「ジェンダー,セクシュアリティについて深く正しく学びその知識を周りの人に伝授する」を枠組みとしており,LGBTQ+・セクシュアリティ・ジェンダーに関する研究を実践した研究者8名が登壇し,ご自身の研究についての成果を発表していただきました。
エソール広島会場のみの開催で,4時間にという長時間にもかかわらず,53名の申込をいただきました。
発表者の論文題目は次の通りです。当日の発表順に記します。
 
性の多様性の理解を目的とした教職員研修の効果と課題
若年層の日本人男性同性愛者が日常生活の実践において直面する諸生きづらさ―を使った半構造化面接調査の分析より―
同性婚法制化をめぐる言説とクィア的視点
ヴァイマル期及びナチス・ドイツ期におけるジェンダーと権力~男性性と男らしさ,同性愛をめぐる考察~
ラドヤード・キプリングの短編小説を読む―メアリ,ベラ,ヘレンの変貌—
ゲイバーというリアル空間のダイナミズム―地方都市におけるゲイの出会いをめぐる比較社会学—
中国の「同性婚合法化事件」により構築される代理出産問題
クィアの夢と現実—米国に移住した日本人のオーラル・ヒストリー―QUEER DREAMS VERSUS REALITY FOR JAPANESE MIGRANTS TO THE U.S
 
全員の発表が終わった後は,広島修道大学教授の河口和也さんから一人一人の研究についての解説やまとめ,「講評」をしていただきました。
その後あらためて質疑応答の時間を設けると参加者からさらにたくさんの質問があがり,それに発表者がひとつづつ丁寧に答えるというような非常に貴重な時間となりました。
大学という狭い場から抜け出た研究者が,社会に向けて発信した課題に対し,参加者がそのテーマを把握し理解するための議論や意見交換が活発に行われた7月3日のエソール広島の研修室はまさに「産官学の共有・協働」の場であったといえます。
参加者にご意見を記していただいたアンケートを2つ紹介します。
「研究発表を聞いていく中で,そのような考え方もあるのかと新しい視点や考え方を知ることができ,より興味を持てました。難しい問題ではありますが,自分にも何かできることはないか,どのような活動をしていくべきなのか,より深く考えていきたいと思えました。興味のある内容であり,ある程度は知識があると思っていましたが,本当に自分はまだ何も知れていないと感じました。こういったイベントは定期的に行ってもらいたいと思いますし,いつか自分も情報発信できる立場になれたらなと思います。」というご感想をいただき,さらに,「研究発表を一般に公開するということがとても興味深かったです。また,その意義や背景を丁寧に冒頭で解説していただき,目的・ねらいが明確になったところから参加できたのは,今回の企画の満足度がより高くなった理由です。これからもいろいろな企画を期待しています。ありがとうございました。」という記述がありました。
研究者と県民(市民)との交流の場を提供することができた初企画の「研究発表会」でしたが,これからもLGBTスタディーズは,新しくて有意義な企画を今後も開催していきます。

 

わたしらしい生き方を選択するためのワークショップ キックオフセミナー

令和4年6月4日(土),エソール広島で「わたしらしい生き方を選択するワークショップ キックオフセミナー」(広島県主催)を開催しました。
このセミナーは,性別にかかわらず,人生のステージに応じた様々な働き方,学び方,生き方について,知って,学んで,考えるというコンセプトで,「講演」,「ゲストスピーカーによるトーク」,そして「ゲストスピーカーと参加者によるグループワーク」の3部構成で実施しました。
学生や社会人など幅広い世代や立場の方,23名が参加されました。
 
講演「パパの家庭進出がひろしまを変えるのだ!」
前田晃平さん(NPO法人フローレンス代表室長)

 
ゲストスピーカートーク
ファシリテーター:丸山法子さん(一般社団法人リエゾン地域福祉研究所代表)


・「林業女子に聞くお仕事トーク」
 杉原遥さん(甲奴郡森林組合フォレストワーカー)

・「育休パパのお困りトーク」
 加藤秀一さん(積水ハウス(株)広島支店東店店長)

・「メディアから見た『男女』の『らしさ』トーク」
 ラン暁雨さん(中国新聞社報道センター記者)

・お題トーク
 「ジェンダーロールを押し付けられていると感じた言葉や出来事」
 「ジェンダーロールによる違和を感じていた時にかけられて嬉しかった言葉やされて嬉しかった出来事」
 
 
講演やトークを聞いた後のグループワークでは,「わたしらしい生き方」について,活発に意見が交わされていました。
 
また,アンケートには次のご意見が寄せられました。
・自分とは違った年代,立場の方の意見や考えを聞くことができて面白かった。
・小さい頃から「女らしく」に異和を感じてきた。その異和を他人に感じさせないようにしてきたつもりだったが,足りなかったなと反省している。できることを少しずつ広げていきます。
・育休制度の確立だけでなく,周りの人,個人の意識を改める必要があることを知った。
・講演,ゲストトークの中で自分も気付いてないけど「やってしまっている」と思うことがあり反省した。
・子育てを終えていく中であきらめたことを久々に思い出せた。
・人により考え方や視点は様々で,仕事や家庭において他人と共働するに当たり,自分の固定観念に寄りすぎないことを改めて認識した。
 
ご参加の皆さま,ゲストの皆さまありがとうございました!
このワークショップが,皆さまや周囲の方にとって,わたしらしい生き方を選択するためのひとつのきっかけになれば幸いです。

 

LGBT関連図書ビブリオフェス 6/12

 「LGBT関連図書ビブリオフェス」を6月12日日曜14:00~16:30エソール広島研修室で開催しました。
前回は4月24日に行いましたので2か月も間を空けずの開催でしたが,定員いっぱいの15名の参加をいただきました。とりわけ特徴的なのは,10代から70代という参加年齢の幅広さです。そうした年齢層の広さから闊達な意見が交わされるのだろうか,という主催者側の懸念をよそに,発表者のしっかり準備されたプレゼンに観覧者は熱心にメモをとりながら熱のこもった議論が行われました。
 発表は5分から7分で,その後質疑応答を行う流れで,一枠20分をめどに4名の方が愛読書を紹介してくださいました。発表の書籍のタイトルは以下の通りです。今回は4点の発表本の内,3点がマンガでした。
 
①アリス・オズマン(著),牧野琴子(訳)『ハートストッパー』(1)~(4) 路草コミックス  2021
②もちぎ『あたいと他の愛』文藝春秋 2019
③鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』KADOKAWA 2018
④如月かずさ『スペシャルQトなぼくら』講談社 2022 

 そして,今回も後半は交流時間を設け,ホワイトボードに記した発表で登場したキーワードを基に,また,参加者の話したいテーマからディスカッションを行いました。
終了後のアンケートをご紹介します。
 「東京や大都市ではLGBTQ+のイベントもたくさん開かれているのに広島ではなかなか見つけられず,LGBTQ+関係で初めて参加したイベントでした。自身のセクシュアリティ以外のセクシュアリティへの知識を広げることもでき,とても有意義な時間をすごすことができました。ありがとうございました」という記述があり,さらにもう一つ,「実際に当事者と話しをすることで『生の声』を知ることができ,本の文面だけでは知ることができないことを学ぶことができてとても良い経験になりました」というご意見をいただきました。
 上記のようなみなさまのアンケートの嬉しいご意見から「ビブリオフェスを続けていこう」というモチベーションにつながりましたし,また,書籍(図書)をツールとするイベントに年齢は関係ないのだと確信した今回のビブリオフェスでした。